ちょっと私の話を聞きませんか。

私やその周りの色んなお話。

怒りのあまりに涙が止まらなくなった昨夜の事。

母ときちんと話せるようになったのはつい最近の事。

今まで最低限の事しか連絡しなかったのだが、理解ある方と再婚をしてから、なんだか憑き物が落ちたように精神が落ち着いてきたように思う。

 

「お母さん、最初はすごい不安定だったんだけどね最近は落ち着いたよ」

 

母がお手洗いに席を外している時、新しい父がこっそりと私に言った。

 

私は東海にある実家に帰省する事がない。

理由は複数あるが、一番の理由は再婚といえど新婚夫婦の邪魔をするわけにもいかないからだ。だから帰省は一年に一度と決めている。そして、きっとこのぐらいの感覚が良いこと事も自分で納得出来ている。

だから何かあればLINEなどで会話を重ねているし、母も始めて恋人が出来た私が気になるようでLINEで声を掛けてくれている。内容といえば、最近どうなのーとか、このレシピ美味しいよとか、そんな他愛のないものだが。

でも私にとってはそんな他愛のないものが酷く心地が良い。

実家にいた頃はギスギスしていてそんな会話はなかったし、怒られる事だって多かった。だからこうして落ち着いて話せるLINEは結構好きだった。

 

けど、昨日、嫌なことがあった。

それは母とLINEで会話した時のこと。

 

4日から彼氏が実家に帰省することが決まり、寂しいなぁと言う気持ちとそういえば母は新しい父とデートでもするのかなとなんとなしにLINEでメッセージを送った。

 

伊木:GWだねー。そっちは何かデートでも行くの?

 

すぐに返事が来た。

 

母:何も予定ないねー(涙)そっちは?

伊木:あら、そうなんだね。こっちも何もないよー

母:そうなの?彼氏は?

伊木:彼氏が4日間実家に帰省することになってね。

母:4日間…

 

んん?

 

伊木:親に顔を見せたいっていう理由もあるし、実家で勉強とかするんだって。ほら新しい職場になったし、勉強することもあるみたいよ

母:ふーん

母:実家で勉強…

伊木:まぁ、どこがやりやすいっていうのは人にもよるしね

母:まぁそうだけど…

母:フーン

 

何その反応?

母はもしかして何か私が放置されるからとそんな微妙な反応なの?と

 

伊木:4日間遊べないから29日と3日デートしたんだよ~~。

 

と伝えるも帰ってくる反応は

 

母:フーン

 

という冷たいもの。

理由も話した上でなんでそんな反応されなきゃならんのかと

 

伊木:まぁ理由もあるわけだし、彼氏のことは悪く思わないでほしいなぁ(泣いてる絵文字)

伊木:(おわびしますといっている犬のスタンプ)

 

と取り合えず此方が下から下から釘を刺してみることに。

 

母:人によるしね、そういう感情も

 

 

 

はぁぁぁ?!何その返し!!!

 

百歩譲って何か思うのはいい。でもそれを隠さずに不信感丸出しで話すのは何か違うと思う。

私は母相手に何か言われたことにそんな反応を返したことはない。

母が私の立場になったら、母だって私と同じように思うんじゃないのか。

 

母に恋人を紹介した時、母と新しい父が関東に遊びに来た際家を紹介した時も、母は「いい人を見つけた」「良い人だ」だと何度も言っていた。だから私は母も新しい父も賛成してくれていると安心しきっていた。

あの時の言葉はなんだったんだ。そんな風に思っていたのか?

 

私は取り合えず、

 

伊木:確かに人によるかもしれない。でもそれを伝えるのって何か違うと思う。お母さんも新しい父のこと何か悪く言われたら嫌じゃない?ごめん、もう寝るね。おやすみなさい

伊木:(ごめんなさいとあやまっている犬のスタンプ)

 

と、相手の返答も待たずに書いた後、トークの履歴を削除した。

それ以降母の返事はない。

 

でも母の返事が来ないことよりも、きちんと理由があると再三伝えたというのに理解もせず、彼を悪く言うような母の反応に酷くいらついて、悔しかった。それと同時に、自分の考えだけで理解しようとはしない母の元へは帰れないと、思った。

正に、何かがガラガラと崩れていくような感覚だった。

 

私が携帯を弄っている最中彼はお皿を洗ってくれていた。

ふんふんと鼻歌を歌いながら洗う姿に、またなんだか母に向けた怒りやら情けなさがこみ上げて、これを彼に伝えて嫌われてしまったら、と恐怖もこみ上げてきて、ついには涙がどばどばと溢れた。

ソファに寝転がって背もたれ側に体を向けて顔を見られないよう、寝たふりは出来ないものかと実践するも、あえ無く失敗。

 

「どうしたの?…俺また何かした?」

 

皿洗いを終えた彼が近づいてきては聞いてきた。

 

いやいやなんでもないよと伝えるも、「なんでもないことはないでしょう、泣いてるんだから。ちゃんと言って?」と優しく聞いてくれたので私は相変わらずびゃあびゃあと泣きながら理由を話した。あぁ、もしかしたらこれで別れるとか言われちゃうかもなぁと思いながら。

 

そうすると、彼は不思議そうな顔で、

「うーん、どうしてそんな反応したんだろうねぇ」と言った。

 

それから彼は、

 

 

「もしかしたら伊木さんのお母さんは俺が思うよりも、深く考えてくれているのかもしれないね。恋人っていうよりも、結婚した夫婦みたいに考えているというか。それだったら納得いくんじゃない?だって結婚してるのに夫がGWに4日間も帰省するんだもん。(笑)

…まぁ、俺としてはまだ夫婦じゃないからさ、そこまで縛られる必要はないかなと思うから帰省するわけだけど、そこらへんは考えの違いかもしれないね。」

「俺としては別に気にしてないし。むしろ伊木さんが大切にされてるからこそ、お母さんは不安なんじゃないかな、離婚した経験もあるわけだしさ、警戒してるんだよきっと」

 

と自分の考えを織り交ぜながら私に話をして、最後には「お母さんを嫌わないであげてね」と言いました。私が落ち着くまで話を聞いて、自分の考えを伝えてくれる彼には矢張り頭が上がりません。

最後は「ほらお風呂入っておいで!すっきりするから!」と泣いて酷い顔の私をお風呂へと促したのですが、私がお風呂に入っている最中、彼は何を思ったのでしょう。

 

 

そして今もなお、母からの返事はありません。

 

漸く話せるようになったのになぁ。